松が枯れるのは松くい虫が原因か?
「マツクイムシ病って松が枯れる病気でしょう!」
「そもそもマツクイムシってなに?」って思われる方もいるかもしれません。
松が枯れると決まって「マツクイムシにやられた!」と言われるようになりました。
松が枯れるとマツクイムシ病とは限らないのですが、このご時世なので、松が枯れればマツクイムシ病と決めつけたくなりますが、でも松が枯れる原因は、本当はそれだけではないんですけどね。
細かいことはさておき、ここでは、現場で起こった事例を元に、本当のマツクイムシ病の正体についてお伝えしていきます。
マツクイムシ病ってなに?
「そろそろお寺の松の手入れ時期だなぁ!」と思って赤松を見に行ったら・・・
「あれあれ、なんだか葉っぱの色がおかしいと感じた・・・」
怪しかったのでしばらくの期間様子を見ていたら、以前よりも枯れている範囲が広がってきたような気がしました。
「これはマツクイムシ病なのでは?・・・とうとうやられたかな?」

そこで、間近で枝、葉、特に幹を見てみると啞然とし、幹のあちこちに陥没穴が開いていることに気づきました。

しばらく観察していると・・・
どこからともなく、カッ、カッ、カミキリが出てきた!

「もしかして、マツノマダラカミキリというやつか?」
写真では見たことがあるが、実際に見たのは初めてでなぜかウキウキしました。
ということは、この幹一面に陥没した穴は、このマツノマダラカミキリが産卵するために強靭な牙で噛みえぐった跡ということなのだろうと察知しました。
この穴の形状は独特で、すり鉢状や口の形にも見え、これはマツクイムシ病が起こっている判断にもなります。

ここに産卵をして幼虫で冬を過ごし、翌年の5月頃から成虫となって世に飛び立ち、次の標的となる松に移動するというわけです。
この蛹から成虫になるまでの時期に、松の中に潜んでいた「マツノザイセンチュウ」という線虫が「マツノマダラカミキリ」に集まってきて、体の中のあらゆる部分に潜むわけです。そして、次の標的の松に向かって一緒に飛び立っていくという、マツノマダラカミキリはただの運び屋というわけなのです。マツノザイセンチュウは、枯れた松に潜んでいるだけでは次の松には移動することができず、どうしてもマツノマダラカミキリの助けが必要になるのです。
これが、マツクイムシ病の実態です。
マツクイムシ病で枯れた松はそのままにしててよいか?
マツクイムシ病は、主にマツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウによる共生で起きる伝染病です。
主にというのには意味があって、マツノザイセンチュウを運ぶのはマツノマダラカミキリだけではなく、ほかのカミキリやゾウムシ類も運び屋となるのですが、伝染病的なことが起きるほど運び込む線虫の数が多い主役的存在がマツノマダラカミキリなのです。
この流れは南から温暖化現象の波に乗って、現在では青森まで北上してきており、全国各地に影響を与えてきた恐ろしい伝染病です。
マツクイムシ病を再発させないためには、マツノマダラカミキリの幼虫が枯れた松に潜んでいる冬のうちに、松を伐採してチップ化し幼虫ごと始末しないといけないのです。なので、本当は枯れた松をそのままにしておくことは絶対に避けなければならないのです。
例えば枯れた松を伐採してもその辺においておけば、幼虫は蛹になり成虫になり、枯れた松から飛び出し、次の健全な松に向かっていき被害を与えることは明らかです。
これをくい止めるための具体的な方法は、枯れた松の処分は、1.5cm以下に砕く「チップ化」できるような処分場に持っていき、適正に100%駆除しないといけないのです。
枯れた松の処分はチップ化だけではなく、幹や枝の全表面を「焼き切る」ことで潜んでいる幼虫を抹殺できますが、すべての面を焼き切ることは労力がいりますし、焼き残しがあるかもしれません。また野焼きのように燃やす場合には火災の発生につながったり、環境上良くない面もあります。
また「燻蒸」といって、切った幹や枝をすっかり専用のビニールシートで覆って、その中に薬剤を投入して時間をかけて抹殺する方法もありますが、チップ化が一番確実な方法であると言えます。
マツクイムシ病の被害に遭って枯れた松はどうすればよいか?
まだ葉っぱが薄緑色で生きているように見えても、葉っぱは徐々に、または時期によってはすぐに茶色になり、その松はすっかり枯れます。


何とかならないかと相談されても、そうなったらもうおしまいです。
マツクイムシ病の被害に遭えば、どんなに昔から家宝のように大事にしてきた松だとしても、100%の終りを迎えます。それは、今まで毎年大金をつぎ込んで管理してきた、大きくてりっぱな大事な松だとしてもです。


あなたの大事な松の周りで、松くい虫病にかかって枯れている松、または最近枯れた松の噂など聞いたことはありませんか?
それが事実だとして、その松の処分は適正に行われたか?まだ何もしていなくて枯れた松が取り残されている場合は問題です。
たとえば、1匹でもマツノマダラカミキリの幼虫が生存していれば、再度松くい虫病が発生する可能性は高いので、もしも心配な場合、あなたの大事な松の周りの 1km圏内の松が枯れていないか?
その枯れている範囲が年々拡大していないか、観察してみてください。
ちなみに、何度もお伝えしていますが、枯れた松の木を切ったとしても、一番重要なのは処分です。
すっかり松が枯れてしまったら、伐採および処分は当方にて可能なのでご連絡してください。