この赤松は、一関市のお寺の墓地の敷地内に、自然に生えてきて二股に分かれた珍しい松。だんだん弱ってきた赤松だからなんとか枯らさないで生かしたいという住職の希望を聞き入れて、一度整理してあげた経緯があります。
ちなみにこれは1年前の状態です。
それから5年以上は経っていると思います。その松は、意外とお墓参りにくる方にとっては邪魔者のようです。その場所は駐車場に利用されていて、松の幹にギリギリまで車を近づけている姿も見かけたことがあるくらいです。
管理されない松はただの雑木
当方の持論ではありますが、5年以上管理されていない松はただの雑木であると考えております。それがどんなに値打ちのある松だとしてもです。
それには理由があり、4年も放っておくと太い枝が伸びて暴れてしまい、樹形はもう元には戻らず、枯れ枝も、枯れ葉も多くなり、必要なところに必要な枝葉がなく間延びした状態になるからです。
これはそのよい例で、松ぼっくりが増え、自然に育っている山にあるような松に見えるでしょう!枯葉を取って整理すると枝だけになってしまうんです。
5年以上前に一度、このような状態からだいぶ整理したことがあります。
それが次の画像です。
枝が伸びた状態から整理した当時の松の状態
枝が伸びた状態から整理し、1年くらい経った状態です。
整理した状態でも、何もしないで数年が経つと、またこのように葉が増えてうっとうしい状態になります。
さらに、この状態をを放っておくと、このように枝が伸びても、間延びするだけで、葉数は少なくなるんです。
間延びすると貧弱な枝が残るだけ
管理をしないでいると、間延びした枝の貧弱さだけが目立つようになります。山に生えている松の枝がこのような感じではないですか。実はこれが本来の松の自然な状態なので、松にとってはストレスの起こらない生き方なのです。
ここまで伸び切ってしまうと、樹形のことは忘れて、一度枝を整理した方がよいですが、太い枝をバッサバッサと切りすぎると枯れてしまうし、時期によっても太い枝を強く切る剪定をすると枯れてしまいます。庭などに植えてある場合、こうなる前に毎年手をかけてあげて何とかしないといけません。
本年度の剪定作業
今年の6月に再度剪定の依頼を受けました。
以前頼まれた時よりも貧弱になり、枝葉はかろうじて伸びていますが、樹勢が弱ってきている感じがしました。
剪定作業前
1年前の状態
今年の状態
1年前の状態と比べるとだいぶ弱弱しくなっているのがわかるかと思います。
高さを低くして詰めたいところですが、一気に詰めると樹勢が弱まり枯れる原因になります。
1年前の状態
今年の状態
剪定作業後
いきなり切りすぎると枯れそうだったので、枯れ枝と伸びすぎている枝、混んでいる部分の枝葉を中心に剪定しました。
枝先にしか葉がついておらず、現時点で、これ以上手を加えることは不可能でした。